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後見情報箱

このページでは「後見制度」が

どんな時に必要とされるか?

どんな種類があるのか?

制度の現状はどうなのか?

どんな問題点があるのか?

の概要を知って頂き、そこから出てきそうな疑問に中立的な立場で「いろいろな質問」のページでお答えしていこうと思います。

「後見制度について」

判断能力が低下した場合に一人ではできなくなることにはどんなことがあるでしょうか?

・本人名義の預貯金を解約するとき

・本人が施設入居や病院への入院の手続きをするとき

・本人名義の不動産を売るとき

・本人名義の保険契約の手続きをするとき

・本人が遺産の相続人になるとき

・介護保険などの契約手続きをするとき

以上の様な場合に本人を法律面や生活面で支援する成年後見制度ですが、この制度には

「任意後見制度」「法定後見制度」の2種類があります。

わかりやすく違いを表にしましたが、判断能力が低下した場合の備えを自分で決めて準備すするのが「任意後見制度」で、判断能力が低下してから家庭裁判所の指針などによりできない事の対応をしてもらうのが「法定後見制度」です。

※法定後見制度には、ご本人の判断能力の段階により後見・保佐・補助の3つの種類があります。

任意後見契約締結時に判断能力に不安がある方は同時に任意代理契約を結び、任意代理人として本人の支援をしてもらう方法もあります。

基本的な考え方として、本人の意思を尊重するということで任意後見契約が登記されている場合には、任意後見が法定後見に優先されます。

制度の詳細は以下の厚生労働省の「成年後見はやわかり」を参照下さい。https://guardianship.mhlw.go.jp/

 

「後見制度の利用状況」

日本における認知症及び知的・精神障がい者の数は2020年において約1091万人程度とされています。後見制度の利用数は約24万人利用率は約2.2%に過ぎません。

認知症高齢者の増加等により後見制度に対する需要が高まっているにもかかわらず申立件数は2012~2020は約3万5千件から3万7千件程度とほぼ横ばいの状況が続いていました。

 

何らかの要因によって後見制度の利用が敬遠されているのではないかとの懸念から政府は、2016年4月に成立した「成年後見制度利用促進法」に基づき、後見制度の利用促進策を進めてきました。その成果が出始めたのか2021年は申立件数が前年比で7%増加して、約4万件に達しました。その成果が顕著なものとして後見開始の申立における市区町村長申立てが2006年は千件程度だったものが2021年には9千件程度にまで急激に増加しています。その背景には、単身世帯や身寄りのない高齢者等の増加により、必要な時に後見の申立てをすべき親族が見当たらないケースが増えていることなどがあると考えられますが、一部本来の必要性を越えた行政による推進もあるのではと懸念の声もあります。
 

「誰が後見人等に選ばれているのか」

後見制度発足の2000年には親族が選ばれる割合が約9割だったにもかかわらず、その後年々減少し2021年には約2割まで減少しています。対して割合が増加したのが弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職の割合で2021年には約7割近くとなっています。

 

「どの類型の利用が多いのか」

法定後見制度には本人の判断能力の低下の度合いにより「後見・保佐・補助」

の3つの類型があります。制度発足以来「後見類型」全体の7-8割程度を占めています。

2021年度においては後見70%保佐20%補助7%(任意後見2%)となっています。

後見類型は、広範囲な取消権など本人を保護する機能は強いのですが、本人の行為能力を包括的に制限する為 本人の意思尊重が疎かにされやすい類型です。一方、補助類型や任意後見は、本人の行為能力の制限を最小限にとどめ、本人の意思を最大限尊重することを可能な制度となります。

 近年においては、上記の後見類型が7-8割という後見類型偏重傾向の是正が課題とされて、徐々にではありますが保佐や補助の利用件数が増える傾向にあります。しかし、本人意思の尊重が最も実現されやすい任意後見の利用がほとんど増えていない現状は問題だと考えます。

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